鍼を使うということ

先日のこと
HPではなく看板を見て
来られた患者様
ご近所の方ですが
以前から当院のことは気になっていて
痛みに耐えきれなくなって
とうとう
「来た!」
そうです。

問診で症状をうかがってみると
数年前に腰部椎間板ヘルニアを
MRI画像を見せられながら
説明された。
それから常に重だるく
たびたび痛みにも襲われたが
湿布を貼ったりしてごまかしてきた。
数週間前からまた痛み始めて
今は寝られないぐらい痛い

鍼は受けたことがある。
痛くも痒くもなかったので大丈夫だ。
ということでしたが
「症状からみて
 太くて長い鍼を使うことになります。
 その場合無痛で終わるという保証はありません。」
とお断りを入れました。

「太くて長い」で
表情がこわばったのが
気になりましたので
今ならやめることができますが
どうしますか?
確認を取り
改善されるなら
ということで
施術に入りました。

当然こちらとしても
刺激の少ない
細めの鍼から使用していきます。
おそらく経験のある
「痛くも痒くもない」
範囲の鍼です。

肌に刺すときの
切皮痛など
起こしませんが
筋膜・骨膜に鍼先が触る際には
ピリッとした刺激を感じさせます。
でも耐えられる範囲であろうと思います。

しかし
緊張からかおふざけモードに入って
しまっていて鍼を使用するたびに
わーわーきゃーきゃーと
騒ぐようになってしまいました。

そこで意見しました。
「私はあなたを治してあげたいと思っています。
 一回の施術では無理かもしれませんが
 帰るときには今の痛みから開放されて
 改善へ向かう兆候が見られるようにと
 思っています。
 そんなふうにワーワー言われたのでは
 気を使うばっかりで施術が進みません。
 体に針をさすのだから痛いのは当然だ
 とは思っていません。
 しかしより効果的に
 施術してあげたいと思っています。
 時間も限られているので
 ある程度の我慢できる痛みのときは
 黙っていてもらえませんか?
 それができないなら
 施術はここで終わりにしましょう。」

自分としてはもうそこで
終えるつもりだったのですが
こちらの意見に
納得していただけたようで
続けてくださいということでした。

結果的には
その後番手を上げていき
最終的には当院で一番太い
15番鍼も使用しました。

途中
「いまけっこう太い鍼で
 奥の患部に達してますが
 痛くないですか?」
という問いに
「痛いよりむしろ気持ちいい
 マッサージって
 表面だけじゃないですか?
 これは奥の
 ほんとに揉んでほしいとこに
 届いてる感じ」
とおっしゃっていただけました。

このことは当院の名称の
「リーチ (reach 届く)」の
意味するところでもあります。

この人は鍼に向かないのかな?
とも思いましたが
むしろ向いている…
施術を続けてよかったと思います。

腰部椎間板ヘルニア に伴う
痛みやしびれの症状に
鍼灸は効きます。

腰部椎間板ヘルニアとは
背骨の骨と骨との間で
クッションの役割をしている
椎間板が裂け
中身が飛び出している
状態です。
出た部分はレントゲンには写りませんが
レントゲン画像で椎間が狭まっている場合
さらにMRIを撮り
出っ張りが確認されれば
「腰部椎間板ヘルニア」
と診断されます。

ヘルニアが画像診断(MRI)で確認された場合でも
マクロファージ(白血球の一種)が
出た部分を食べてなくなると
現在は言われています。

まだできて間もないヘルニアの場合
反対側から押圧すると
しびれや痛みの症状が
その場で再現されます。
再現されない場合は
出っ張り自体はなくなっている
と考えていいのではないでしょうか?
慢性化した症状も
場所や出方が変わっているはずです。
症状の変化を思い起こしてみてください。
ただ痛い 辛い
だけでなく
場所や質を観察してみてください。

では変化するにしても
なぜ症状は続くのか?
①椎間が狭窄して
 神経の通り道が狭くなっている。
②ヘルニアの痕跡が付近の繊維を巻き込んでいる。
③周辺の筋肉の過緊張が続いている。
と考えられます。

②③は
筋膜リリース・トリガーポイント鍼の適応です。
鍼先で筋膜や他のファシアを刺激すると
改善されます。
①に関しても
過緊張をとき可動範囲を広げることによって
症状を和らげることができます。

今回の患者様も
完治までには至りませんが
極度のつらい状況からは
脱することができました。

痛みを忘れることができると
深い眠りを取ることができます。
それがまた更に改善されることへと
つながっていきます。

鍼を使っての施術は
痛みをある程度伴うかもしれません。
しかしその分
責任を持って診させていただいています。