筋肉の基礎知識

大阪市東成区今里 鍼灸治療院リーチです。
骨格筋についての考察のページです。
ご自身の症状の原因を探るときの参考にしてください。

  1. 解剖学用語
    1. 解剖学的肢位
    2. 動作の用語
  2. 筋肉の構成
    1. 筋原線維
    2. 筋 膜
    3. 収 縮
  3. 関 節
    1. 起始部・停止部
    2. 関節の屈曲と伸展
    3. 可動域
    4. 拮抗筋
      1. ゲル化
  4. 深層筋・浅層筋
    1. 浅層筋
    2. 深層筋
    3. 筋肉は長いほうが強力
  5. 筋肉の病態
    1. 筋肉痛
    2. 廃用性萎縮
    3. 炎 症
    4. 筋攣縮(スパズム)
    5. 筋断裂

解剖学用語

解剖学的肢位

解剖学では手のひらを前に向け直立した状態を基本姿勢とします。「解剖学的肢位」または「ゼロポジション」ともいいます。このページにおける 前後 左右 内外 上下はこの姿勢を基準にしています。

動作の用語

筋肉の構成

筋肉は筋繊維が束ねられてできています。

筋原線維

複数の繊維が一つの束になり
その束がまた複数集まって
さらに大きな束を作り
さらには筋膜で包まれ
形作られます。

始まりと終わりはになり骨に付着します。

筋原線維がスライドし
滑り込み合うことで収縮し力を出します。

筋 膜

筋肉は筋膜によって形作られます。

繊維の束である筋肉は
筋膜によって
その境界と方向性がはっきりさせられます。

収 縮

筋肉は収縮して力を発揮します。けっして伸びる方向には作用しません。

関 節

骨と骨は関節で繋がります。関節が屈曲・進展することで我々は動くことができます。

起始部・停止部

筋肉は一方の端が骨に付着し
関節をまたいでもう片方の端が
ふたたび骨に付着します。1

その付着部のうち
体の中心に近い 動きの小さい方を

 起始部

体の中心から遠い 動きの大きい方を

 停止部

といいます。

関節の屈曲と伸展

関節は
可動側の筋肉が縮むことで屈曲します。

その反対側の筋肉が縮んで引っ張ることで関節は進展します。

可動域

筋肉は骨格上で一つ以上の関節にまたがって付きます。

その関節が動ける範囲を
可動域
といいます。

可動域が制限されていればなにか問題があると考えられます。

拮抗筋

ある筋肉の運動方向に対して
反対の方向に作用する筋肉を
拮抗筋といいます。
上記の「屈曲」⇔「伸展」は
拮抗する動きになります。

筋肉が収縮するとき
拮抗筋の関係にある反対側の筋肉は
完全に力が抜けて
抵抗なく伸びていくことが理想です。

この絵(赤:上腕二頭筋 青:上腕三頭筋)の場合
伸筋の上腕三頭筋が抵抗なく伸びて
屈筋の上腕二頭筋が収縮して
肘関節が屈曲しています。

しかし
拮抗筋が固く縮んでいて
その信号を受け取れないでいると
主動筋に対して抵抗になり
パフォーマンスを低下させます。


この絵の場合
上腕三頭筋に縮んで固くなった部分があり
肘を曲げる抵抗になっています。

また歩幅を例にすると

太ももを上げることから始まります。
太ももの前の筋肉が脚を持ち上げようとしても
モモ裏で拮抗筋が縮んだままだと
抵抗となり一歩が小さくなります。

ゲル化

また拮抗の関係にある筋肉が
同時に収縮すると
周囲の間質液をゲル化
固めてしまうことがわかっています。
このことが腱鞘炎などの原因の一つになります。

深層筋・浅層筋

浅層筋

より皮膚に近い表層にある。
2つ以上の関節
にまたがり長く 大きな力を発揮する。

トレーニングによる負荷がかけやすく
ストレッチの効果もえられやすい筋肉です。

上の図では
上腕二頭筋肘関節と肩関節の2つの関節にまたがる浅層筋にあたります。

深層筋

骨に近い深層にある。
単関節筋
関節の可動の角度・向きを決め
身体全体の姿勢も制御する。
局所的に一番大きな動脈が隣接している。
起始部は広い面積で付着している。

ストレッチでは伸ばしにくい筋肉です。

上の図では
上腕筋が肘関節にまたがる単関節筋です。

表層筋と深層筋は広い部分で筋膜が重なり滑走不良を起こします。

筋肉は長いほうが強力

同じ太さなら長いほうが強力です。
身長が高いピッチャーが
速いボールを期待されるのは
そのためです。

深層の筋よりも浅層の多関節筋のほうが長く強力です。

同じ長さなら太いほうが強い
とも言えますが
見かけの太さには筋繊維だけではなく
間質が含まれている場合もあるので
一概には言えません。

筋肉の病態

筋肉は正常な状態ではストレスなく伸び 痛みなく縮みながら力を発揮します。
そのためには十分な血流による酸素・栄養の供給 神経からの正しい信号の入力に加えて筋膜間のなめらかな滑走状態が必要です。筋膜の構成成分はコラーゲンですが80%は水分です。ぬめりを持った表面の水分が失われると滑りが悪くなります。これを筋膜の滑走不足2 といいます。

筋肉痛

病態ではありませんが
日常よりも強い負荷を筋肉にかけた場合 
筋肉痛が発生します。
痛みがあり うまく伸ばせず 
若干の熱を帯びる時もあります。

筋肉痛のメカニズムはまだ解明されていませんが 痛みを伴うことから痛点がある筋膜が関係しているようです。

筋膜リリースの施術を受けたあとも筋肉痛と同じような症状が出るときがあります。これは効果があったサインだと言えます。

廃用性萎縮

筋肉は使われないことによって退化し細く貧弱になります。筋繊維だけでなく毛細血管網も退化し栄養の供給も滞ります。

体内においてタンパク質は貴重なものなので必要のないところには供給が減らされます。そのため使わなければ筋量はどんどん減ります。

傷病による長期臥床だけでなく 健康な人でも 日常の動きが決まってしまうとほとんど使わない筋肉ができてしまいます。
例えば日常生活で肩のラインより上に腕を上げる動作はありません。そのような日常では挙上に関わる筋肉がやせ細りそれが原因の肩こりが慢性化していきます。

炎 症

筋肉は炎症を起こします。
過度な強度や連続した負荷 打撲で起こり 局所的に痛み・熱・腫脹が見られます。

しかしこれらの異常によって患部がわかりやすく対処しやすくもあります。

足首の捻挫やぎっくり腰などの急性症状ではまずは冷やして安静にすることが必要です。

筋攣縮(スパズム)

筋繊維は神経伝達による一回の信号で一回収縮します。一本の繊維に一本の神経が対応しより大きな力が必要なときはより多くの繊維を動員します。持続させたいときは信号が連続して繊維に届きます。これを「攣縮れんしゅく」といいますが過度に連続すると神経伝達が不随意化され力を抜きたくても抜けなくなるという状態になります。筋全体でおこると体液の循環が滞り内圧が上がりふくれた状態になります。一部の繊維で起こるとその繊維のせいで筋全体が動きを制限されます。

筋断裂

筋繊維は切れてしまうことがあります。
急に収縮させる
スピードにある動きを急に止めるなど 
力の向きを急に変えるときに起こることが多いようです。
上記の筋スパズムの状態を持っていると起こりやすいようです。
部分断裂・完全断裂とありますが筋膜のみが裂けたような状態を肉離れと呼びます。

  1. 骨格筋について述べています。顔の表情筋は皮膚に停止します。 ↩︎
  2. 癒着という言葉を使う人もいますが医学的には正しくありません。 ↩︎

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心からお待ちしております
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