リーチの鍼

  1. はりの太さ長さ
    1. 太いはりを使う理由
    2. 患者様と症状を見極めて使用
  2. 鍼管を使用します
  3. 鍼を打つポイント
    1. 経穴(つぼ)をよりどころにすると
    2. 圧痛点をねらうと
    3. はりきゅう筋膜リリースの場合は
  4. 刺鍼に伴う痛み
    1. 切皮痛
    2. 刺入後の痛み
    3. 脱力と短縮位
    4. 血管や神経に触れた痛み
  5. 穴 数

はり は
完全滅菌処理後個包装された
ディスポーザル鍼を使用しています。

シャーレ(はり皿)は
高圧蒸気滅菌処理したあと
UV殺菌庫に保管し直前に取り出します。

準備用のワゴン上に
手指消毒用のアルコール
グルコン酸クロロヘキシジン溶液に浸された
消毒綿花とともに用意されます。

長尺の鍼による深部への刺鍼は骨指標をとり神経血管を避け出血損傷をさせないよう気をつけています。

国家資格保持者の刺鍼です。安心して受診して下さい。

はりの太さ長さ

はり は
太さ0.12mm~0.5mm
長さ1.5cm~10cm
のものを常備し
症状や体格・受診経験
刺激に対する強さ
などを考慮して使い分けます。

太いはりを使う理由

太めの はり を使う理由は
深部への刺鍼を行う場合
その直進性が安定し安全だからです。

針金などでは太くてもふにゃふにゃしている
ものもありますが
鍼灸用の 鍼 はステンレス製で
細いより太いほうがしっかりとしています。

身体の内部で曲がってしまって
どこへ行くかわからないよりも
直進性を維持
もしくはしなりを術者が
コントロールできる
コシのある太い鍼のほうが
安全であると考えています。

もう一つの理由は
太いと刺激量が多いということです。
刺してすぐに抜いても
鍼が太いと
生体に対して刺激を多く与えられます。
言葉を変えると
強力
ということにもなります。

でもこれは術者側から見た都合であり
患者様が受け入れられる
刺激量の調整を術者が調整しなければならないことは言うまでもありません。

患者様と症状を見極めて使用

患者様の体力・状態を見極めて
鍼の太さ 刺激量は
決めていきます。

細い針を使った場合
置鍼時間を長く取って
刺激量を増やす場合もあります。

そうしたほうが患者様自身が
自分の体が変化するのを
わかっていただけるかもしれません。

腰が緩んで伸びていって
肩の力が抜けていく
今日は時間かかったなというときは
体を休めるのに必要な時間だったと
うけとっていただければと思います。

症状によっては
鍼の使用をおすすめすることもあります。
無理に使用することはありませんが
原因が深部にある場合
鍼を使用したほうが
効果的であることは確かです。

鍼管を使用します

中国などの鍼治療では鍼を直接突き刺す
撚鍼法ねんしんほう」がおもにされています。

日本では一度管に納めてから皮膚にあて
管の上部に出た部分をトントンとたたいて
「切皮」したあと刺入していく
「管鍼法」が主流です。

この管を「鍼管」といいます。

日本でも看板に中国鍼と書かれたところでは
撚鍼法でされる先生もいます。

捻鍼法のメリットは
ピンポイントで狙いを定められることです。
 
鍼管を使うと
管の太さの中で誤差が出ます。
顔針などでは必要な精度です。

もうひとつは
手順が少ない分早く打てること 
管鍼法と比べると同じ本数でも
半分ぐらいの時間で打つことができます。
施術する側には都合のいいことで
院内が混み合ってくると撚鍼法で
パッパと打ちたくなってきます。

しかし当院では鍼管を使う
「管鍼法」
で刺鍼しています。
管鍼法のメリットは
鍼先の進行方向を決めやすいこと

管の延長上に目標を設定するとします。

撚鍼法だと鍼のたわみを
利用するため針が進む方向には
ズレが出ます。

管鍼法ですと
管の方向を決めればその方向に鍼先は進みます。

ピストルよりも銃身の長いライフルのほうが
狙いを定めやすいことに似ています。

狙いを定めやすいことはより安全なのです。
そのための時間をロスとは思いません。
必要な時間です。

当院では安全であることを常に心がけています。

鍼を打つポイント

経穴(つぼ)をよりどころにすると

刺鍼で一般的なのは
「経穴」ツボと呼ばれているものねらって打つことです。
鍼灸師ですから経穴の勉強もしています。

鍼灸学校では
「ここに打てばこういう効果がある」
よりも
「鍼を打つ場所を決めるために何を目印にするか」
ということのほうが重要視されて習います。
場所を間違うと危険だという考えているからです。

実際 WHOで決められた361穴を見ると
神経や血管をうまく避けた場所に置かれています。

しかし
それは表面上の目印であって
内部で針先がどう進むかまでは見届けられてはいません。

だから各経穴の安全な刺鍼深度を設定しています。

逆に言うと
皮膚上の場所の特定だけでは深くはさせない
ということです。

圧痛点をねらうと

指先等で押してみて痛みを感じる点
「圧痛点」を探って打つ場合もあります。

阿是穴あぜけつ」とも言われ筋疲労などには効果も認められますが解剖学的に裏付けられた安全性はないので比較的表面的な部分か筋腹にしか針先を送れません。

また圧痛があるところを手当り次第にとなると刺鍼回数も多くなります。

はりきゅう筋膜リリースの場合は

筋膜に対し安全により効果的に変化を与えるところに刺鍼します。
そのためには

①経穴を絶対的な基準とはせず参考程度にとどめます。

②体表上だけでなく内部においても指標を持ち解剖学的な考察により血管・神経などを避けます。

③筋腹ではなく筋膜の重なりがより見られる起始部・停止部を重要視します。

④深層の原因筋を探り出しその筋膜へ針先を届かせます。

以上により刺鍼ポイントを決めていきます。

刺鍼に伴う痛み

切皮痛

切皮痛とは
鍼が表皮を貫くときに出る痛みです。

痛みを感じる受容器
「痛点」は表皮にありますので
これをなくすために鍼灸師は練習します。

痛点は皮膚上に点在しています。
皮膚面をシワのまま鍼を打つより引き伸ばしたほうがその面積あたりの痛点の数は少なくなります。

患者様側に添える方の手を押手と言いOKサインの形に人差指と親指の先を合わせその指先を開くようにして皮膚面を引っ張ることで痛点を少なくします。

適切な圧で肌面を捉えていないとうまく引っ張れません。
患者様側から見れば押手がふわついているときは「痛いかも?」と予想できます。

また細い鍼よりも太いほうが
断面積が大きいので捉える痛点が多くてより痛いということになります。

当院では臀部などは一五番鍼を使います。シャープペンシルの芯ほどの太さです。

太い鍼だから切皮痛がかならず出るということでもなくむしろ細い鍼のほうが敏感なところに使用することが多く痛みを感じさせることがあります。

刺入後の痛み

身体の内部でも痛点は膜に多く散在しています。
凝り固まった筋肉の筋膜を貫くときは表皮上のように押し手がありませんので
痛みを感じます。

深部の筋肉が過緊張のため
「骨かな?」
と疑うぐらい硬いこともあります。

悪いほど硬く そして痛みを感じるとも言えます。

そういった原因筋の筋膜への鍼先の接触時にも痛みを感じます。

その痛みを避ける方法として刺激になれさせるため

「鍼先があたった時点でしばらく時間をあける」

こともあります。二段階で進めていく感じです。

脱力と短縮位

力が入ったままストレスが掛かった筋肉に
鍼を打っても効果は半減しますので
患者様に脱力を促すようにしています。

短縮位とはその筋肉が一番縮んだ状態です。
一番力の入ってない状態を他動的に作り枕やマットで維持します。

血管や神経に触れた痛み

血管・神経にあたったときも痛みを感じます。

注射針と違い鍼先は
それらを避けるような形(のげ形)になっています。
丸みを帯びでいるので切り裂くことはないのです。

…がそこで油断していてはいけません。

血管の場合
無理をすると内出血を伴います。

神経の場合は
鍼の圧迫によりピリピリとしびれが出て
気持ちのいいものではありません。

解剖学上はっきりしているものは
極力避け刺鍼します。

穴 数

鍼を刺す回数(穴数)は
少ないほうがいいと思います。

無痛で刺鍼を済ませても
交感神経は亢進します。
そしてしばらくして副交感神経が優位になり
眠気やだるさを感じます。

これを好転反応というのは間違いです。
自律神経を乱高下させる刺激は
少ないほうがいいのです。

そうすると
一度で済ませるよりも何度かに分けて
徐々に回復するほうが適当であると言えます。

以上が当院の刺鍼に対しての
考え方とやり方です。


あなたのご来院を
心からお待ちしております
I will set you to Be Free.